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今回は皆さんご存知ライカのM3修理をご紹介します。

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カメラ史を変えたともいえる名機です。

その精密さ完成度の高さから、日本のメーカーがライカの模倣をやめて、軸足を一眼レフに踏み換えるきっかけになったカメラでもあります。
皮肉にもそれが後にライカの経営を圧迫する結果になりました。

あまり色々書きますとライカ教信者の皆さんに怒られてしまいそうですので蘊蓄はこのへんにして。

今回お預かりしたM3を見てみましょう。

まず巻上げレバーが戻りません。
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スローシャッターが途中で止まってしまいます。

巻上げれば−が戻らないのはバネの端が折損しているためでした。
交換するのがベストなのでしょうが、ここはバネを加工して対応しました。

スローは以前に注油された油分と埃で固着していました。
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ここは取り外して清掃と最低限の給油を行います。

その他一通りの整備を行ったのですが、今回は余りお見せできるような写真が残っていませんでした。

ところでこのM3はシリアルナンバーからするとシャッタースピードの並びは国際系列(B, 1, 1/2, 1/5, 1/10, 1/25, 1 /50, 1/100, 1/250, 1/500, 1/1000秒)のはずなのですが、何故かシャッターダイヤルが倍数系列(B, 1, 1/2, 1/4, 1/8, 1/15, 1/30, 1/60, 1/125, 1/250, 1/500, 1/1000秒)でした。
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オーナー様も上カバーとボディが違うのではないかと気にされていましたが、ボディと上カバーは同じシリアル番号でした。もしかしたら管制部周りが交換されているのかも知れません。
その他にも巻上げユニットもダブルストロークからシングルストロークの物へ交換がされていましたが、故障の多かったダブルストロークからの換装は当時普通に行われていた事ですので、特に珍しい事ではありません。

やはりM3はいいですね。
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M3以後後継機種や派生機種は発売されましたが、後にも先にもこれ以上のレンジファインダーカメラは新規開発されなかったと思います。

このカメラまだまだ使えますよ。

Leica M3

製造:ライツ社(西独) 1956年11月〜1957年1月(シリアル番号より)
型式:フォーカルプレーンシャッター式レンジファインダーカメラ
シャッター:布幕横走りフォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B,1〜1/1000秒
露出計:なし


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2012.08.14 / Top↑
皆さんオリンピック見ていますか。
私はリアル視聴はちょっと無理なのでスポーツニュースとインターネットが情報源になっています。

一昨日8/10は産経新聞の号外が4本も出ていました。
○×法案成立、隣国大統領の竹島訪問、オリンピックのメダルが2件と新聞社もなかなか忙しい夏のようです。

横浜カメラサービスはお盆期間中(8/11〜8/19)は時短営業(11:00〜17:00)を行っています。
(月曜日は定休日)

さて、今回はOLYMPUS PEN-S3.5の整備をご紹介します。
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OLYMPUS PENシリーズは1959年に発売されたPENを皮切りに以下のように展開してくのですが。
 PEN-Sマニュアル露出(露出計なし)、目測焦点(ゾーンフォーカス)
 PEN-EE オート露出、固定焦点(パンフォーカス)
 PEN-EES オート露出、目測焦点(ゾーンフォーカス)
 PEN-D マニュアル露出(露出計内蔵)、目測焦点(ゾーンフォーカス)
 PEN-F 一眼レフ

PEN-Sシリーズは元祖PENの仕様を色濃く残したモデルです。
1960年発売のPEN-SではオリジナルのPENに対して、シャッターユニットが刷新され、レンズもF2.8の明るいレンズを搭載していました。
今後紹介するのは1965年発売のPEN-S3.5なのですが、これは初期型のPEN仕様をそのままに新しいシャッターユニットにグレードアップしたようなモデルで、PEN-Sシリーズでは一番最後にリリースされた物です。
珍品として有名なPEN-Wもレンズを除けばほぼ同スペックと考えて良いでしょう。

特徴はなんと言ってもこのレンズ部分の薄さ。パンケーキどころか、ピザくらいしかありません。
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フォーカスは目測ですが、こちらは前玉回転式のフォーカス機構で、PEN-EESに引き継がれた機構です。
ちなみにPEN-D立派な直進ヘリコイドが付いています。

今回の不具合は時々チャージできない事があるとのこと。

シャッターチャージ機構はPEN-Dシリーズとほぼ同じ、PEN-DがPEN-Sの機構を引き継いだんですね。
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たいていはこの部分の金具の変形が原因。

PEN-SやPEN-Dを使ったことがある方はわかると思いますが、このカメラはフィルムを巻き上げると、シャッターチャージが完了したときにパチンとバネのはじける音がします。
結構そのパチンの衝撃でシャッター内部までネジが緩んでいることが多く、面倒でも各部のネジは必ずチェック・まし締めします。
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金具の変形を修正して、シャッターも整備すれば不具合は解決です。

その他、諸々整備を行い完了です。
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ファインダーのデザインはPEN-Dの元かな。

このカメラまだまだ使えますよ。

OLYMPUS PEN-S3.5

発売:1965年2月
型式:35mmハーフサイズレンズシャッターカメラ
シャッター:コパル B,1/8〜1/250
フォーカス:目測
露出計:なし
発売時価格:7,500円

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2012.08.12 / Top↑
今回はRICOH AUTOHALF Eの修理です。

オートハーフはその愛らしいデザインと手軽さから大ヒットしたカメラです。
長期にわたって製造されそのバリエーションもかなりあるようです。
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今回のAUTOHALF Eは1966年11月に発売で、前年発売のAUTOHALF Sからセルフタイマーを省いた物です。

お預かりしたときの状態は巻き上げ・チャージもシャッターレリーズもままならない不動の状態。
オートハーフの不動はたいていはワインダー用ゼンマイのグリス硬化か、このあたりのギアの油ぎれ。
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今回は部品の変形もありましたので修正しました。

レンズは富岡光学製の25mm F2.8で焦点は2.5m固定です。
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設計はリコーのようです。

オートは露出計の針押さえ式。
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受光部のセレン光電池が整備で太陽電池に換装されているようです。
オート露出を調整しました。

オートハーフは遮光用のモルトが腐食して裏蓋を開けると惨憺たる状態の個体が多いのですが、このカメラは途中で整備を受けたこともあり状態は悪くありませんでした。

復活したAUTOHALF Eです。
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このカメラまだまだ使えますよ。

RICOH AUTOHALF E
発売:1966年11月
型式:35mm ハーフサイズ自動巻き上げ式、自動露出カメラ
レンズ:25mm F2.8(3群4枚構成) 2.5m固定焦点
シャッター:レンズシャッター
シャッタースピード:1/125(オート) , 1/30(フラッシュモード時)
発売時価格:12,800円

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2012.07.27 / Top↑
今回はCanon FTbの分解整備です。
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Canon FTbというと次のAシリーズに較べると硬派なイメージを受けるのは私だけでしょうか。
各部のカッチリした作りは今でもガタが来ていません。
マニュアル専用の普及期で同世代のカメラとしては、minolta SR-T101, Pentax SP, Nikomat FTn、Konica FTA辺りが該当します。どれもまじめな作りで大切にお持ちになっている方が数多くいらっしゃいます。

このカメラの特徴的なのはファインダーのコンデンサレンズに仕込まれたハーフミラーで露出計の受光部へ光を導いているところです。
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Canonの説明によると「コンデンサーレンズを斜めに切断し、その傾斜面を蒸着処理で半透明化して張り合わせ、 ファインダー用光路と測光用光路を形成するカットコンデンサーが使用されている」とのこと、F1も同じ仕組みです。

内部の汚れとモルトの劣化は激しかったのですが、カメラの機構部分の整備は問題なく終了しました。

しかし今回の問題はこれからでした。
下の写真はファインダープリズムを外したところですが、横のスペーサーの紙が折れています。
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分解時に何となく気になって撮影した物です。

ファインダーの部品を一通り清掃して、写真の折れたスペーサーをまっすぐに直してプリズムを置いたのですが、下のコンデンサーレンズと当たってしまいます。

あれ?なんでこのプリズムの下面凸レンズになっているんだ???
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FTbのプリズムの下面は平面・・・・そうです、違うカメラのプリズムと入れ替えてありました。
下面が凸レンズになったプリズムはオリンパスのOM-1や、ペンタックスMシリーズなどコンデンサーレンズを使用しないタイプのカメラのものです。

たまたまスペーサーの紙が半分に折れて挟まっていたため、今までプリズムとコンデンサーレンズがゴッチンコしなかったようです。おそらく視野率もかなり落ちていたと思われます。

お客様に連絡し、プリズムは同メーカーの互換品と交換しました。
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並べてみると違いがわかりますね。

CannonのFXやFTbはプリズムをモルトの腐食から守るはずのカバーがつんつるてんで、カバーの切れ目から加水分解したモルトが入り込み、プリズムのメッキ面を侵してしまいます。このカメラも過去に同様の症状があり、その修理の際に不適合なプリズムと入れ替えられてしまったと勝手に想像しています。

ビックリする事件もありましたが復活しました。
_DSC1410.jpg
(レンズは弊店のテスト用レンズです)

いいですね。この時代のマニュアル機。
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このカメラまだまだ使えますよ。


Canon FTb

発売:1971年3月
型式:35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ
シャッター:横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B,1〜1/1000秒
露出計:Cds使用、追針式
発売時価格:
     74,000円(FD55mm F1.2付き)
     57,000円(FD50mm F1.4付き)
     49,800円(FD50mm F1.8付き)
     35,000円(ボディ)

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2012.07.26 / Top↑
ほんとに久々の更新です。
ここのところ修理のバックオーダーが溜まってしまい、お客様には修理完了まで長くお待ちいただいています。

修理優先でやっておりますので、このブログの修理記事もバックオーダー?がたまりにたまって、修理日記のつもりがすっかり回顧録になってしまいました。

今回はLeica IIIcの整備とリメイクをご紹介します。

お預かりしたときの状態です。
R0014998.jpg
すでに貼り革が取り去られていました。

このカメラは当初貼り革の貼り替えのみで受注したのですが、途中でシャッター幕のゴムが溶けて癒着していることが判明し、シャッター幕の交換及び各部点検整備を行うことになりました。

戦時中に発売されたIIIcは赤幕と呼ばれるそれまでと違ったシャッター幕を使用しています。
Leicaに関する蘊蓄は詳しい方がたくさんいらっしゃいますので、そちらを見ていただく事にして。
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修理に際してなんとか貴重な赤幕を残そうと新しい幕の裏打も考えたのですが、ゴムの癒着部分が多くあきらめました。

古い幕を撤去します。
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せっかくですから幕を取って裸になったところで、テンション軸やシャッター軸まで綺麗に清掃、給油を行います。
シャッター幕を作り直し再びシャッター機構に組み込みます。

スローガバナもだいぶ汚れていました。
ガバナ内のドライクラッチも汚れて両方向で作用ししまうので分解して清掃。
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真ん中のカムの凹んだ部分に左側のコロが入り、右側のギアがフタのように被さります。
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正回転時は外側のギアとカムの狭まった間にコロが挟まってクラッチが繋がった状態になり、逆回転時はコロがカムの凹みに逃げて外側のギアが空転します。
この機構はペンタックスのSVまでの機種でも使われています。
但しSVは三つ球ですが、こちらは4つ玉。

メカの整備を一通り終え、最後に貼り革を新調します。
お客様のご指定は銀色でした。

バルナックライカの貼り革は一枚物なので慎重につくらないと穴の位置などのつじつまが合わなくなります。型紙を作り、やや大きめに切り出してから現物合わせしていきます。
型紙作成中
画像は型紙作成中のイメージです。
斜めになっているのは切り出す貼り革シートの大きさのに制約が合ったためです。

完成したLeica IIIcです。
_DSC1773_2.jpg
貼る前は銀色?ん~?と思ったのですが・・・出来上がってみると凄く格好いいですね。

このカメラまだまだ使えますよ。

Leica IIIc
発売:1941年〜1942年(シリアル番号から推測)(ドイツ)
製造:ライツ社
形式:フォーカルプレーンシャッター式レンジファインダーカメラ
シャッター:フォーカルプレーン布幕横走りシャッター
スピード: B・T・1~1/1000秒
レンズマウント:Lマウント


ところで
独空軍
軍艦部にFLNo.38079、背面にLuftwaffen-Eigentum・・・独空軍仕様???



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